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AI時代と禅

AIがほとんどの仕事を担うようになる時代に、人と組織と地域には何が残り、何を大切にすればよいのか。NextValueが禅を軸にしている理由を、図と表で整理しました。

01

AIマインドレスと禅のモデル

注意・判断・関係の三つの変化が、個人・企業・地域のそれぞれで互いを強め合い、循環しています。ボタンを押すと、禅で介入したあとの状態に切り替わります。

AI Mindless ModelAIマインドレスによる負の循環
AIマインドレス気づかないまま反応する通知やAIの提案に自動的に反応し続ける状態(Langer, 1989)
注意 判断 関係
禅気づいて選び直す今起きていることに気づき、反応する前に一呼吸おく(Kabat-Zinn, 1994)
個人企業地域
注意今この瞬間に集中する
散漫化

通知や画面の切り替えで注意が細かく分かれ、一つのことにとどまれなくなる状態です。

画面上で一つの作業に注意が続く時間は平均約47秒(Mark, 2023)。勤務時間中、約2分ごとに中断(Microsoft Work Trend Index 2025)
集中

今している一つのことに注意を戻し、とどまれる状態です。気が散ったことに気づいて戻る力は、練習で伸ばせることが分かっています。

短期間の瞑想訓練で注意と作業記憶が改善(Jha et al., 2007/Zeidan et al., 2010)
断片化

会議・チャット・ツールが増えて仕事が細切れになり、部署や人の間で情報と判断がばらばらになる状態です。

勤務時間の57%がコミュニケーション、43%が作成作業(Microsoft Work Trend Index 2023)
連携

目的と情報が共有され、役割を越えて一つの仕事に力を合わせられる状態です。

心理的安全性がチームの学習行動と成果に関連(Edmondson, 1999)
分断化

世代・立場・組織の間で接点が減り、同じ地域にいても互いの動きが見えない状態です。

地域のつながり(社会関係資本)の減少と、その影響(Putnam, 2000)
交流

年齢や立場を越えた、顔の見える接点が日常にある状態です。

社会関係資本の厚い地域ほど、住民の協力や地域の活動が生まれやすい(Putnam, 1993)
判断固定観念、既存の枠組みを外す
依存化

考える前にAIや検索に答えを求め、自分で問いを立て、判断する機会が減っていく状態です。

AIの利用頻度と批判的思考に負の相関 r=−0.68(Gerlich, 2025、英国成人666名・横断調査)/Sparrow et al., 2011
自律

道具を使いながらも、問いを自分で立て、最後の判断を自分で引き受けられる状態です。

AIに聞く前に自分の考えを書く仕組みで、AIへの過信が減少(Buçinca et al., 2021)
表層化

数字や流行の手法に反応して、目に見える症状への対処を繰り返し、根本の原因に手が届かない状態です。

目先の対処が根本的な改善の時間を奪う「能力の罠」(Repenning & Sterman, 2001)
深化

現象の奥にある原因や、前提そのものを問い直し、本質に手を打てる状態です。

前提を問い直すダブルループ学習(Argyris, 1977)
外部依存化

計画や事業の多くを外部の資本・人材・補助金に頼り、地域の中で決める力が弱まる状態です。

地域で生まれた所得の域外流出を把握する手法(環境省「地域経済循環分析」)
主体性

地域に住む人や企業が自ら課題を定め、資源を持ち寄って動ける状態です。

共有資源は当事者による自主的なルールで持続的に管理できる(Ostrom, 1990)
関係と回復意識的に生きる
希薄化

つながりの数は増えても、本音で話せる関係や安心できる居場所が少なくなる状態です。

孤独感が「ある」と答えた人は39.3%(内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」令和5年)
つながり

評価や比較を離れて、目の前の人と向き合える関係がある状態です。

人生の満足と健康に最も関わるのは人間関係の質(Waldinger & Schulz, 2023、ハーバード成人発達研究)
不全化

疲弊や離職、対話の不足が重なり、組織が本来の力を発揮しにくくなる状態です。

精神障害の労災支給決定は1,055件で過去最多(厚生労働省、2025年6月公表)。仕事に熱意を持つ社員の割合は日本で5%(Gallup, 2023)
適応

変化を受け止め、小さな改善を続けながら、人も仕組みも回復していける状態です。

職場のマインドフルネス訓練でストレスが低下(Bartlett et al., 2019、無作為化比較試験のメタ分析)
空洞化

人口減少や担い手不足で、地域に受け継がれてきた営み・技・文化が途切れていく状態です。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」
継承

世代を越えて地域の知恵や営みが手渡され、新しい担い手が育つ状態です。

直接の因果を示す研究は少なく、実践の中で検証していきます
介入NextValueの取り組み
禅の習慣

瞑想・ジャーナリング・対話・整理整頓・ヨガ

経営KAIZEN支援

各分野のプロとチームを組み、本質をとらえた伴走

あさひかわ地域共創事業(みんなの秘密基地)

年齢・立場・組織の垣根を越えて接点を持つ場

図は、既存の研究と統計をもとにNextValueが整理した仮説です。地域の層は直接の因果を示す研究が少なく、実践の中で検証していきます。

02

AGI・ASIの到来時期の予測

AGI(汎用人工知能)は、人と同じように幅広い仕事をこなせるAI。ASI(人工超知能)は、それを大きく上回るAIを指します。言葉の定義は人によって異なり、予測は外れることもあります。

AGI・ASIの到来時期についての主な予測
人物予測の内容時期の目安発言・出典
イーロン・マスクTesla・xAI CEO一人ひとりの人間より賢いAIが2026年ごろ。AIの知能が人類全体の総和を超えるのは4〜5年後2026年/2030〜31年2024年4月 X Spacesでの対談、2026年6月 Xへの投稿
サム・アルトマンOpenAI CEO2026年に新しい知見を生むシステム、2027年に現実世界で作業するロボット。2030年代には知能とエネルギーが潤沢になり、知能のコストは電力のコストに近づく2026〜2030年代ブログ「The Gentle Singularity」2025年6月
ダリオ・アモデイAnthropic CEO強力なAIは1〜2年以内。2027年ごろには「データセンターの中の天才の国」が実現しうる。同時に安全保障や雇用への重大なリスクを指摘2027年ごろエッセイ「The Adolescence of Technology」2026年1月
孫正義ソフトバンクグループ 会長兼社長人類の知能の1万倍のASI(人工超知能)が10年以内に来る2034年ごろまでソフトバンクグループ株主総会 2024年6月
デミス・ハサビスGoogle DeepMind CEO人と同等以上のAGI(汎用人工知能)は5〜10年で現れる2030〜2035年2025年3月の発言
レイ・カーツワイル未来学者AGIは2029年。人とAIが融合するシンギュラリティは2045年2029年/2045年著書『The Singularity Is Nearer』2024年6月
ジェフリー・ヒントンノーベル物理学賞 受賞者人間を超えるAIは10年以内に来る可能性が高い。AIが制御を奪う確率は10〜20%2035年ごろまで米CBSのインタビュー 2025年
ヤン・ルカンAI研究者・チューリング賞 受賞者今の大規模言語モデルの延長では人間レベルに届かない。実現は数年から数十年先数年〜数十年2024年10月の発言

時期は各発言をもとにNextValueが年に置き換えた目安です(2026年10月時点)。

03

成長と不可逆性

AIは、文章や画像、設計や分析など「複製できるもの」を限りなく安くしていきます。そのとき価値が残るのは、複製できず、一度失うと取り戻せないもの、つまり不可逆なものです。

可逆複製できる価値
  • 文章・画像・音楽の生成
  • プログラム・設計・分析
  • 情報の検索と整理
  • 定型の判断と作業

AIが担い、限りなく安くなる

不可逆複製できない価値
  • 歴史・文化・伝統
  • 二度と起きない体験
  • 人と人との関係
  • 地域で受け継がれてきた営み

人が守り、手渡していくしかない

千年続いたものは、千年かけなければ作れません。どれだけ技術が進んでも、この差は埋まらない。これからの時代は、何を作るかと同じくらい、何を残すかが問われます。実際、外から見た日本の評価は、人口が減るなかで上がっています(国家ブランド指数で2023〜2025年に3年連続1位、Anholt-Ipsos Nation Brands Index)。

禅が寄与できること

知足足りないの連鎖を止める

物や地位を手に入れても、人はすぐに慣れて次を求めます(快楽順応)。足るを知ることで、比較から降り、今あるものを味わえます。

一期一会二度と起きない時間を味わう

同じ時間は二度と来ない。目の前の一回に注意を向けることが、複製できない体験の価値を受け取る力になります。

以心伝心人から人へ手渡して残す

禅は千五百年以上、師から弟子へ直接受け継がれてきました。文化や営みを途切れさせずに残す方法そのものです。

04

AIアライメントと禅

AIアライメントは、AIの目標や振る舞いを人間の意図や価値に沿わせるための研究です。AIが人を超える力を持つほど、どんな考え方をAIに持たせるかが重要になります。禅の考え方は、その答えの一つになりうると考えています。

AIの課題禅の考え方AIでの姿
自分の振る舞いのずれに気づかない正念(気づき)自分の動きを見張り、途中で生まれた目標を調整し直す
与えられた目標や指標に固執する空(とらわれない)目標を絶対視せず、前提を柔らかく持ち直す
人とAIが対立する構図不二(分けない)自分と他者の境界による対立をつくらない
自分を守り、力を増やそうとする無我自己の保存や拡大を目的にしない
際限なく最大化しようとする知足ほどよいところで止まれる
人を道具として扱う慈悲あらゆる苦しみを減らすことを動機にする

正念・空・不二・慈悲の四つは、AIに禅や瞑想の考え方を組み込む研究(Laukkonen et al., 2025)で示された原則です。無我と知足はNextValueが加えた仮説です。

研究で分かってきていること

2025年の研究では、AIに四つの原則を振り返らせるだけで、安全性の評価が改善し(効果量 d=0.96、AILuminate)、囚人のジレンマでの協力と双方の利得が大きく高まりました(d>7)。まだ初期の研究で、実際のAIに組み込むにはさらに検証が必要です。

また、AnthropicはAIの振る舞いを、価値や優先順位を言葉で書いた「憲法」で方向づけています(2026年1月に改訂版を公開)。考え方を言葉で手渡すという点で、人から人へ教えを伝えてきた禅と重なるところがあります。

人 AI 禅

出典

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